Q5:なぜ10歳にも満たない子どもが、児童買春や児童ポルノ等の買売春の対象にされるのでしょうか?

  • 子どもが買売春の対象になる理由

    それは弱い立場におかれているからです。さまざまな理由がありますが、それが大きいと言えます。世界では、18歳に満たない7人に1人の子どもたちが働かされていると言われるなかで(国際労働機関(ILO) 2010年)、最悪の場合、子どもが人身売買され、セックスワークに従事しなければならないというケースもあります。国連ユニセフでは、東南アジアのメコン河流域では、セックスワーカー(性産業に従事している人々)の30~35%が、12歳~17歳までの子どもたちだと報告しています。

    発展途上国の場合、買春被害に遭う子どもたちは,欧米や日本等の先進諸国から買春観光を目的としてくるセックスツーリストや、その国の大人たちに買われています。なぜなら自国で子どもを買春すると違反になるためです。

    Q1のミーチャの事例はまさにそのものです。他にも、性交経験の少ない子どもは、HIV/AIDSなどの性感染症のリスクが低いという誤った考えもあります。子どもと性交すると事業が成功するという妄信から処女性への需要が膨らんだり、子どもたちの弱さに付け込んで、性的欲求のままに子どもを支配したいという横暴さによるものなど、理由は多岐にわたります。

    また、より若い性を求める意識やそれをあおるメディアの影響も大きいと言えます。日本のようにポルノ規制が弱く、紐(ひも)のような水着を子どもに着せて、イメージビデオに出演させた「着エロ」動画や、女性や子どもをレイプするアニメゲームを製造していることも、社会の意識に影響を与えます。先進諸国でも、お金のやり取りのなかで大人に買春されたり、実父や養父などに性的虐待される被害も大変多いです。被害に遭った苦痛と自責の念や恥じらいのなかで、被害に遭った子どもたちは沈黙を強いられます。子どもの被害が見えにくいことには、こうした背景があり、確実に私たちの隣にいる子どものなかに被害者がいます。

    なお、世界基準である「人身売買禁止議定書」では、理由や手段の内容やお金がからんでいるかいないかを問わず、18歳未満の子どもを性的に搾取することは、すべて人身売買であると唱っています。これは、とてもたいせつなポイントです。

  • 日本における児童ポルノ・児童買春の現状

    上図は2009年度の警察白書の統計です。「福祉犯」という子どもが安全で安心して生活をおくることを脅かす犯罪を取り締まるためにつくられたルールに違反して検挙された人が、年間6,983人に上ります。なかでも児童買春・児童ポルノ法によるものが1,272人。児童買春や児童ポルノで、1日に3人が検挙されています。

    特に、児童買春は子どもの性的搾取そのものであり、児童ポルノはその記録です。これらを野放しにさせておくということは、社会が子どもの性的虐待に加担していることを意味するといえます。児童ポルノは映像をつくられてしまった時と、それが半永久的にインターネットで世界中にばらまかれるという長い被害をもたらします。それによって、被害に遭った当事者が一生苦しむケースも少なくありません。

  • 新聞記事からの事例

    携帯電話のプロフィルサイト(プロフ)で呼びかけ、連絡してきた女子中学生に売春させていたとして、神奈川県警少年捜査課は2日、児童福祉法違反容疑で男3人を逮捕したと発表した。 逮捕されたのは、千葉県船橋市芝山1丁目、M氏(31)▽横浜市港北区新横浜1丁目、K氏(31)▽埼玉県志木市本町3丁目、O氏(28)の3容疑者。

    県警によると、M氏は2008年12月21日ごろ、携帯電話のプロフをみて連絡してきた当時13歳の川崎市の中2の少女をK氏らに紹介し、K氏らは2009年1月16日までの間、この少女に4回売春させた疑い。K氏らは店舗を持たず、客もプロフなどを通じて集めていたといい、県警は、2009年12月ごろから1千万円近くの利益を得ていたとみている。K氏らは「18歳未満の女の子を20人くらい売春させていた」と供述しているという。

    2009年9月2日付け 朝日新聞 掲載記事(容疑者名は仮名に変換し記載)

より詳細の背景が知りたい方へ

book

子どもの最貧国・日本学力・心身・社会におよぶ諸影響日本に暮らす7人に1人は貧困水準。この衝撃的な数字が示すように、日本はいまや、子どもの福祉水準が、アメリカと並ぶ最低水準となってしまった。日米の子どもの福祉の現場をふまえ、多角的な視座で実態を暴いた一冊。

著者
:山野良一
価格
:¥861(税込)
出版社
:光文社新書
URL
書籍詳細

book

フィリピンの少女ピア~性虐待をのりこえた軌跡~国際協力NGO Free the Children Japanが協力するフィリピンのNGO「プレダ基金」に所属するピア・コーベラさんの半生を描いた本。なぜ、子どもがセックスワーカーとして働かされなければならないのか、また、そこから解放され、尊厳を取り戻すまでを、彼女の物語から知ることができる。

著者
:中島早苗,野川未央
価格
:¥1,400
出版社
:大月書店
URL
書籍詳細

book

多発する少女買春―子どもを買う男たち「買う側」の男性に焦点をあて、その実態に迫るとともに、買われる子どもたちの保護を訴える。また国内外を問わずに子どもを買う、悪名高き「子ども買春の加害大国」日本の男性の背景も明らかにする。

著者
:いのうえ せつこ
価格
:¥1,800
出版社
:新評論
URL
書籍詳細

book

家のない少女たち 10代家出少女18人の壮絶な性と生一人一人の家出少女の生き様を幼年時代から聞き取り、少女たちに共通してある、様々な暴力や虐待の被害を明るみにする。売春で傷つき、また売春で生き延びることが出来ている子どもたち。子どもたちが大人から傷つけられ、放置されている日本社会の現状を鋭く追及する。

著者
:鈴木大介
価格
:¥1,300
出版社
:宝島社
URL
書籍詳細

book

居場所をなくした子どもたちを守る子どもシェルターの挑戦虐待などの事情で居場所を失った10代後半の子どもたちのための緊急避難施設(シェルター)の活動を、現場のスタッフ自身が自らの経験をもとに報告する。子どもたちが権利をまもられ、安全で安心できる生活環境で生きていかれるように、いま、社会に求められていることを多様な角度からの提言している一冊。

編集
:カリヨン子どもセンター/子どもセンターてんぽ/子どもセンター「パオ」/子どもシェルターモモ
価格
:¥1,890
出版社
:明石書店
URL
書籍詳細

book

告発・現代の人身売買貧困がもたらす虐待、監禁、売春、強制労働。世界に3000万人の「奴隷」がいることを綴った邦訳本(2010年10月新刊)。被害者の多くは子どもたち。売春婦として売りとばされる少女から、ゲリラに拉致され、兵士として育てられる少年まで。世界の子どもの現状がするどく描かれた迫真のルポ。

著者
:デイヴィッド・バットストーン
翻訳
:山岡万里子
価格
:¥2,625
出版社
:朝日新聞出版
URL
書籍詳細
ページトップへ

Powered By NPO法人てのひら・人身売買に立ち向かう会 〜人身売買を知らせ、人権をたいせつにする社会をつくるNGO〜

copyright 2011-2014 think-trafficking-project.